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『彫刻文化財の基礎知識』
この講座では彫刻文化財の基礎知識について解説していきます。

はじめに
文化財の修復者の仕事は、しばしば医者の治療にたとえられます。医者が患者を治すには何より、患者の体ことをよく知る必要があります。そのため私たちは、患者である彫刻文化財の模刻制作を行い、その素材や造形性、構造、造像技法などを学んでいます。
また人を治療する時、その病気や怪我の状態についても把握しなければなりません。そこで彫刻文化財の損傷状態や保存環境についての調査研究を行い、実際の修復作業に備えています。
このように文化財修復者には、
幅広い知識と的確な技術、そして豊富な経験が求められるのです。以下、日本の彫刻文化財の大半を占める仏像について簡単に解説していきたいと思 います。

1.仏像の成り立ち
仏教とブッダ
仏教は、紀元前6世紀頃、インドの釈迦族の王子として生まれたゴータマ・シッダールタ(釈尊・釈迦牟尼)によって開かれました。出家したゴータマは修行のすえに悟りを開き、ブッダとなります。
ブッダ(Buddha)とは「覚者」=真理を悟った者を意味し、Buddhaの音訳として「仏」、「仏陀」とも表されます。
仏像の誕生
初期仏教では礼拝の対象となるものは存在しませんでした。しかし釈迦入滅の後、その遺骨である舎利や、舎利の埋納施設である仏塔がしだいに礼拝の対象となっていきます。
さらに仏塔の周囲には、釈迦の事跡を示した「仏伝図」が彫刻されるようになり、その中で仏陀の存在は象徴的なもの(仏塔・菩提樹・輪宝・宝座・仏足文など)で表現されるようになりまし
た。
やがて紀元1世紀頃には、ガンダーラとマトゥラーで具体的な人間の姿をかたどった
仏像が誕生します。
最初の仏像は仏教の開祖である釈迦の姿を表したもので、「三十二相、八十種好」という特徴があるとされました(★)。
この三十二相、八十種好は仏像の基本的形体となり、他の仏像にも適応されていきます。その後、仏教は中国や東南アジアなどに広まる中で多様な展開を見せ、さまざまな種類の仏が生まれました。

「三十二相、八十種好」
1.足下安平立相(そくげあんぴょうりゅうそう)
  :足裏が平らで地に密着し、針一本入らない。
2.足下二輪相(そくげにりんそう)
  :足裏に生まれつき輪宝がある(千輻輪相〈せんぷくりんそう〉)。
3.長指相(ちょうしそう)
  :指が細く、長く、まっすぐである。
4.足跟広平相(そくげんこうびょうそう)
  :かかと跟が広く平らである。
5.手足指縵網相(しゅそくしまんもうそう)
  :手足の指の間に雁の水かき状の膜がある。
6.手足柔軟相(しゅそくにゅうなんそう)
  :手足が柔軟なことが、一切の身分に勝る。
7.足趺高満相(そくふこうまんそう)
  :足の甲が高く足裏は赤蓮華、指の間は珊瑚色。
8.伊泥延膊相(いでいえんはくそう)
  :腕膊が伊泥延鹿〈カモシカの一種〉のように細い。
9.正立手摩膝相(しょうりゅうしゅましつそう)
  :正立すればたなごころ掌が膝を擦るほど手が長い。
10.陰蔵相(おんぞうそう)
  :常は陰相(いんぞう)が体内に隠れている。
11.身広長等相(しんこうちょうとうそう)
  :身長と両手を広げた長さが等しく、榕樹(ようじゅ)のようである。
12.毛上向相(もうじょうこうそう)
  :身体の諸々の毛が生え、みな上を向く。
13.一一孔一毛生相(いちいちくいちもうしょうそう)
  :毛穴ごとに一毛が生え、乱れず青瑠璃色。
14.金色相(こんじきそう)
  :身体が、いかなる世界の金にも増して金色に輝く。
15.丈光相(じょうこうそう)
  :仏身四辺に一丈の光、仏はその中におられる。
16.細薄皮相(さいはくひそう)
  :皮膚が細薄で、蓮華の葉のように汚れない。
17.七処隆満相(しちしょりゅうまんそう)
  :両手両足両肩とうなじ項の七処の肉が盛り上がる。
18.両腋下隆満相(りょうやくげりゅうまんそう)
  :腋の下が高すぎず、深すぎず、円満である。
19.上身如師子相(じょうしんにょししそう)
  :上半身がまるで獅子のようである。
20.大直身相(だいじきしんそう)
  :一切の人と比べ、最も大きくまっすぐである。
21.肩円好相(けんえんこうそう)
  :肩が円満で美しい。
22.四十歯相(しじゅうしそう)
  :常人とは異なり、歯は四十本、頭蓋骨は一つ。
23.歯斉相(しさいそう)
  :歯がそろっており、間に細い毛ほどの隙間もない。
24.牙白相(げびゃくそう)
  :犬歯が白く、雪山〈ヒマラヤ〉王の光にまさる。
25.師子頬相(ししきょうそう)
  :頬が獣の王、獅子の頬のように平らで広い。
26.味中得上味相(みちゅうとくじょうみそう)
  :全味のうち常に最上の味が得られる。
27.大舌相(だいぜつそう)
  :舌が大きく口から出れば顔を覆い、髪際に達する。
28.梵声相(ぼんじょうそう)
  :梵天王のように五種の声を出す。
29.真青眼相(しんしょうげんそう)
  :瞳は紺青色で、青蓮華のように美しい。
30.牛眼睫相(ぎゅうがんしょうそう)
  :睫(まつげ)は牛王のように長く、乱れない。
31.長髻相(ちょうけいそう)
  :頭頂は骨が拳のように盛り上がる(肉髻相〈にっけいそう〉)
32.白毛相(びゃくもうそう)
  :眉間に五尺の白い毛が右巻きに生える(百毫相〈びゃくごうそう〉)
2.仏像の種類
如来・菩薩・明王・天部  羅漢・祖師・神像
仏像は大きく如来、菩薩、明王、天部の4種類に分けることができます。また日本の仏教関連表現として羅漢、祖師像、神像などもあります。
2.1.如来
如来とは
「如来」とは真理の世界(如)から来た者という意味で、悟りを開いた者を指し、「仏」、「仏陀」とも呼ばれます。
スリランカ、タイ、カンボジアなど南・東南アジア諸地域に伝わった南伝仏教(上座部仏教)では、如来とは釈迦のことを意味します。チベット・中国・朝鮮・日本に伝わった北伝仏教(大乗仏教)では、諸仏のことを指し、釈迦如来のほかに、阿弥陀如来、薬師如来、弥勒如来、大日如来、盧舎那仏(毘盧舎那如来)などがあります。
如来のすがた
如来の姿は上述の「三十二相、八十種好」という特徴を持つとされ
ますが、実際にはその中の数種類を選択して表現します。如来像の基
本形は、大日如来像を除き、歴史上に唯一存在した如来である釈迦の
悟りを開いた後の姿で表現され、装身具などは身につけません。

如来には、釈迦を表した釈迦如来の他に、阿弥陀如来、薬師如来、
毘盧舎那如来、弥勒如来、大日如来などがあります。
螺髪(らほつ):短い旋毛(巻き毛の意)で表される頭髪のことを指します。
肉髻(にっけい):頭頂の隆起した部分を指します。
地髪:肉髻の下にある部分を指します。
肉髻珠:肉髻と地髪とが接する正面中央部には、知恵の光明を示す肉髻珠(肉髻)という赤い玉を付けているものがあります。通常は水晶などを嵌入(かんにゅうはめ込むこと〉)します。水晶を入れる前に穴に朱を入れていることが多いため赤く光って見えます。
白毫(びゃくごう):額に生える白い巻き毛。通常は水晶などを嵌入(かんにゅう)します。
耳朶(じだ):耳たぶに穴があいて、大きく垂れています。王子時代の釈迦は、耳に飾りを下げていたことからくる表現として考えられています。
三道(さんどう):くびに表される三本の筋
縵網相(まんもうそう):手足の指間の水掻き状の皮膜。
大衣(だいえ):通常は一枚の大衣をまとう。全身が金色に輝く金色相などの相好を表します(
※1)。
※1 大衣と衲衣
大衣のことをのうえ衲衣ともいいますが、衲衣とは「ボロを縫い合わせた布」(糞掃衣〈ふんぞうえ〉)を意味する言葉で、大衣は糞掃衣によって作られるため使用されるようになりました。
(くん):下半身に巻いた布(
※2)。
※2 裙と裳
彫刻史において、仏像が身に付ける裙(くん)と裳(も)は同義の言葉ですが、近年では裙を使用することが主流になってきています。ただし裙の先端部分を指す場合は「裳先(もさき)」と表します。

2.2. 菩薩
菩薩とは
元来、仏陀になる以前の釈尊を指し、大乗仏教では仏となることを誓って修行しつつ、他の衆生の救済を志す者を指すようになりました。
菩薩には弥勒菩薩や、虚空蔵菩薩、地蔵菩薩、観音菩薩(聖観音菩薩・十一面観音菩薩・千手観音菩薩・如意輪観音菩薩・不空羂索観音菩薩、馬頭観音菩薩)など多くの種類があります。

菩薩のすがた
姿形は多様性に富みますが、地蔵菩薩などを除き、インドの貴人の姿に表すことが基本となっています。髪を高く結い上げて、腰に裳を上半身に条帛をまとい、また全身に豪華な装飾品を身につけていおり頭に宝冠、胸に胸飾りや瓔珞(ようらく)、腕に臂釧(ひせん)・腕釧(わんせん)をつけています。

宝髻(ほうけい):結い上げた頭髪。
垂髪(すいはつ):肩にかかる髪。
天冠台(てんかんだい):もとは宝冠を支える輪。これ自体が宝冠になっている例も。
冠ぞう:宝冠から下がる絹のリボン
白毫(びゃくごう):額に生える白い巻き毛。通常は水晶などを嵌入(かんにゅう)します。
三道(さんどう):くびに表される三本の筋
条帛(じょうはく):上半身に斜めにかけるたすき状の布
天衣(てんね):身体にまとう細長い布
(くん):下半身に巻いた布。
胸飾(きょうしょく):胸の飾り
腕釧(わんせん):手首につける腕輪
臂釧(ひせん):上腕につける腕輪
瓔珞(ようらく):玉を連ねた装身具
持物(じもつ):手にとるもの

2.3.明王
明王とは、密教における大日如来の化身です。諸悪を降服させる守護神らしく、顔は憤怒の表情で、髪は辮髪(べんぱつ)や焔髪(えんぱつ)、手には降伏用の宝剣などの持物を持ちます。基本的な姿は菩薩に準じますが、裾を翻したり、天衣を翻らしたりと荒々しい表現がされています。
密教における大日如来の化身で、諸悪を降伏させる守護神です。明王には五大明王(不動明王、降三世明王、大威徳明王、軍荼利明王、金剛夜叉明王)や、愛染明王、孔雀明王があり、孔雀明王を除き、忿怒相を見せます。

2.4.天部
バラモン教やヒンドゥー教の神々が仏教に帰依し、仏法を守護する護法神となったものを指します。
如来、菩薩、明王に次ぐ位置にあります。諸天の最高位である梵天・帝釈天や、吉祥天、弁才天、大黒天、四天王(多聞天・持国天、広目天・増長天)、十二神将、執金剛神、金剛力士(仁王)などさまざまな種類があります。姿形は非常にバリエーションに富んでいますが、貴人形を表すものと、武装形を表すものに大別することもできます。

2.5.羅漢
仏教の修業を完成して阿羅漢果(悟りの境地)に達した人のことを阿羅漢といい、羅漢はその略称です。釈迦の教えを護持する尊者を指します。十六羅漢、十八羅漢、五百羅漢などの種類があります。

2.6.祖師像
インドや中国、日本の祖師や高僧のことです。たとえば維摩居士、無著、世親、達磨大師、鑑真和上、慈恩大師、弘法大師、空也上人、重源上人、日蓮聖人などさまざまな種類があります。
中世以降、禅宗では中国や日本の祖師像が数多く造られ、こうした肖像のことを「頂相」(ちんぞう/ちんそう/ちょうそう)といいます。

2.7.神像
奈良時代以降に広まった神仏習合思想により、日本古来の神々を表した神像や、本地垂
迹説から生まれた権現像などが造られるようになりました。
 初期の神像は仏教尊像の現存最古の作例としては9世紀後半の東寺(教王護国寺)、
薬師寺の八幡三神像が知られています。

3.仏像の時代的様式の変容
6世紀に朝鮮半島から日本に仏教が伝来してから、外来文化の受容や国内の政治背景の影響を受けて、日本独自の展開を見せるようになります。
各時代ごとに造仏素材や時代的様式の特徴を簡略に紹介します。

時代様式区分
時代背景
造仏素材
時代的特徴
代表的な作例
飛鳥時代
(仏教伝来〜650頃)
仏教伝来
遣隋使
大化の改新
金銅仏
木彫像(楠)
面長の顔に、杏仁形の眼、アルカイックスマイルをたたえる。正面性、左右対称が強調された表現。 法隆寺百済観音
法隆寺金堂諸仏
広隆寺弥勒半跏思惟像
白鳳時代
(650頃〜710)
仏教の地方伝播
藤原京遷都
金銅仏、塑像、
乾漆像など多様
柔らかな肉付きに穏やかな顔。体の線に張り付くような薄い衣文が特徴的。 法隆寺夢違観音
深大寺釈迦如来倚像
天平時代
(710〜790頃)
平城京遷都
国家仏教
大仏建立
木彫像、乾漆像、塑像など多様 豊かな肉付けに動感あふれるポーズ、生き生きとした写実的な表現が特徴。国家仏教の中心として東大寺に大仏が建立される。 東大寺戒壇院四天王像
薬師寺薬師三尊像
興福寺八部衆像
平安前期
(790頃〜890頃)
平安京遷都
密教伝来
木彫像が主
 [一木造]
(榧・檜)
重量感のある体躯に巧みな彫法をしめす。密教の影響で、多面多臂など神秘的な表現が多くみられる。 東寺不動明王坐像
神護寺薬師如来立像
新薬師寺薬師如来坐像
平安中期
(890頃〜1000頃)
国風文化
遣唐使の廃止
神仏習合思想
木彫が主
 [鉈彫り、神像]
磨崖仏など
遣唐使の廃止により和様化が深まる。また、神仏習合の影響で、神木信仰からくる鉈彫りや神像が造られるようになる。 臼杵磨崖仏
松尾大社三神像
宝城坊薬師三尊像
平安後期
(1000頃〜1185頃)
藤原貴族文化
末法思想
定朝様式の確立
木彫像が主
 [ 寄木造 ]
(檜・桂など)
貴族文化を反映した優雅で均整のとれたプロポーションを示す。大仏師定朝により和様化、寄木造りが完成される。 平等院阿弥陀如来坐像
浄瑠璃寺九体阿弥陀像
法界寺阿弥陀如来坐像
鎌倉時代
(1185頃〜1330頃)
武士政権の誕生
新宗派の成立
南都復興
宋風文化の受容
木彫像が主
(檜)
 [ 寄木造 ]
南都復興で運慶快慶などの奈良仏師が活躍し、天平仏や宋文化、武士文化が反映した脈動的で写実的な表現が完成される。
写実表現の一つとして目に水晶を嵌入する「玉眼」が多用されるようになる。
東大寺南大門仁王像
興福寺南円堂不空羂索観音坐像
浄土寺阿弥陀三尊立像
東大寺重源上人像
南北朝時代
(1330頃〜1400頃)
禅宗文化 木彫像が主
(檜)
禅宗文化により師僧の頂相像が多く造られる。また観阿弥・世阿弥によって完成された能楽の能面が造られるようになる。 大徳寺大燈国師坐像
瑞泉寺夢窓国師坐像
室町時代
(1400頃〜1600頃)
応仁の乱
町衆文化
木彫像が主
(檜)
仏教が庶民に広く浸透するようになるとともに、需要の高まった仏像はだんだん様式化されるようになる。 東寺講堂大日如来坐像
長谷寺十一面観音立像
安土桃山時代
江戸時代
(1600頃〜1868)
戦国時代
江戸幕府の成立
鎖国
大衆文化
木彫像が主
(檜)
石像
江戸時代に入ると檀家制度が成立し、仏像の需要がさらに高まる。その需要に応えるために、箱組み木寄せや泥下地が多用されるようになる。
様式化が進む中、湛海・木喰・円空などの個性的な僧仏師が登場する。
金剛峰寺蔵王権現立像
東寺金堂薬師如来坐像
寛永寺四方四仏像
宝山寺五大明王像
五百羅漢寺五百羅漢像
近代

(1868〜現在)
明治維新
廃仏毀釈
欧風文化の流入
文化時保護法施行
木彫像が主
(檜)
石像
明治維新より西洋文化が流入し、仏像に美術品的価値が付加されるようになる。
昭和25年に文化財保護法が制定され、古仏に文化財価値が付加されるようになる。
竹内久一作伎芸天像
四天王寺諸仏
など

4.仏像の技法
日本の仏像は飛鳥時代の仏教伝来以降、銅・石・鉄・木・土・漆など、いろいろな材料でつくられてきました。
木造
木彫技法には一木造と寄木造の2種類に大別することが出来ます。
一木造 寄木造
定義:
頭体幹部を一材で木取りした技法。(坐像の場合は膝前材や両腕を別材とする場合が多い)

時代区分:飛鳥時代から平安時代中期頃に多く用いられた。
定義:
主要頭体幹部を2材以上の木材を寄せ合わせて造る技法
 

時代区分:平安時代〜現代

特徴
きな像を彫りだす時には、木材の乾燥による干割れや狂いを防ぐために、背中から像内を内刳り、別材にて背板をあてる『背刳り』という技法が用いられた。
また、背刳りでは十分な内刳りが難しいことから、針葉樹
材が縦方向に容易に割ることが出来る特性を利用して、主要
部を前後に一度割り、内刳り施してから再接着する
『割矧』
という技法が使われていた。割矧技法は、主要部を割り矧ぐ
以外にも三道下で割る
『割首』や、両足の付け根を割る『割
足』
などが併用されることもある。
その他にも像をすべて一材で彫りだした(手先などは別材の
場合もある)
『丸彫』技法もあり、檀像系彫刻などの小像に
多く用いられた。

特徴
主要頭体幹部を前後もしくは左右に2材以上の木材を寄せ合わせてつくられている。
寄木造のメリット
1)木材を寄せ合わせることで一木造りよりも大きな像が造立
することができるようになった。
2)各部材を分担して作業できることで像造時間の短縮が可能
となった。
3)材を分解できることで深い内刳りを施すことが可能とな
り、材の乾燥による干割れや狂い(ねじれ)を十分に抑えるこ
とができ、像の重さも軽減できるようになった。

寄木造は藤原時代に大仏師定朝により完成されたと言われ、平
等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像にその典型をみることが出来る。
その後の鎌倉時代に東大寺南大門の仁王像のような主要部材に
10材を寄せ合わせて巨大な木彫仏を造像するようになり、割
矧ぎ技法を併用した造仏技法として大成し、現代まで続く木彫
造仏技法の主流となります。
代表的な作例
新薬師寺/薬師如来坐像
神護寺/薬師如来坐像
東大寺/彌勒佛坐像(試みの大仏)
観心寺/如意輪観音坐像
室生寺/釈迦如来坐像
など多数

代表敵な作例
平等院鳳凰堂/阿弥陀如来坐像
浄瑠璃寺/九体阿弥陀像
興福寺南円堂/不空羂索観音坐像
円成寺/大日如来坐像
東大寺南大門/金剛力士像
など多数

材質
日本は風土的に良質の木材が多く採れることから木造が最も多い。木材は檜が多く使われるが、その他にも榧、楠、桜、欅、桂など多種多様な木材が使われている。
玉眼:眼部に内刳面から水晶を当て込み、水晶の内側に眼球を描き、白綿や和紙をあてて白目を作って、人の目のような眼
を表現する技法。玉眼は平安後期頃からあらわれ、鎌倉時代から多く用いられるようになる。
乾漆造
乾漆造には脱活乾漆造と木心乾漆造の2種類に大別することが出来きます。
脱活乾漆造
木心乾漆造
脱活乾漆技法とは、塑土でおおよその形を造り、その上に麻布
を貼りこんで数枚重ねたのち、中の土を掻出して中空にし、心
木をいれ、木屎漆でモデリングしていく技法である。木屎漆で
のモデリングは、柔らかさや弾力感など独特の風合いが出ると
ころにある。
木心乾漆技法とは、木で形を造ったのち、木屎漆でモデリング
していく技法です。また木心乾漆は脱活乾漆に対して制作工程
が少なく、漆の量も少なくて済むが、重量がある事に難点がある。
 天平時代以降木彫仏が主流になっていくが、この木心乾漆技
法はその先駆けとも言える。
特徴
内側は空洞でハリボテのような状態になるため非常に軽い。
特徴
モデリングによる柔らかい表現と木彫による重量感のある表現
の両面が生かされている。
代表的な作例
・興福寺/十大弟子像 八部衆像
・唐招提寺/盧舎那仏像
・当麻寺/四天王像
・東大寺法華堂/不空羂索観音立像
代表的な作例
唐招提寺/薬師如来立像 千手観音立像
聖林寺/十一面観音立像
観音寺/十一面観音立像
*木屎漆
漆に木粉やタブ粉等を混ぜ合わせたもの
銅造
銅を溶かして流し込む鋳造という技法で造られ、表面に鍍金を施したものを金銅仏といいます。
技法
鋳造の原型には鑞型、土型、木型などがあります。
日本の金銅仏は鑞型を原型としたものが多く、飛鳥時代〜天平時代の多くの優品が現代に伝わっている。
その後も各時代を通じて用いられ、現代でも多くの金銅仏が造られている。
代表的な作例
法隆寺金堂 釈迦三尊像  法隆寺 夢違観音像
薬師寺金堂 薬師三尊像  薬師寺東院堂 聖観音菩薩像
興福寺 旧山田寺仏頭
蟹満寺(京都) 釈迦如来坐像
東大寺 盧舎那仏坐像<奈良の大仏>
など多数
塑造
粘土に藁すさや籾殻、こうぞなどを混ぜて造った仏像を塑像といいます。
技法
木に藁縄などを巻き付けて心棒を造り、そこへ荒土、中土、仕上げ土の3段階に分けて土をつけて造形していきます。
奈良時代に最も多く造られましたが、重量があることや壊れやすいことから、以後あまり造られませんでした。
代表的な作例
法隆寺五重塔 塑造群
東大寺戒壇院 四天王像  東大寺法華堂 執金剛神像、日光・月光菩薩像
新薬師寺 十二神将像
など
石造
自然石や山から切り出した切石に仏を彫ったものを石仏といいます。
技法
石仏の技法には、石を立体的に丸彫したものやレリーフ状に彫ったもの、壁面に線刻したものなどがあります。
また、岩壁を直接削って仏をあらしたものを磨崖仏といいます。
材質
日本では、硬質で恒久的な特徴を持つ花崗岩が最も多く用いられている。
他にも軟質で彫刻が容易なことから、大谷石や松香石などの凝灰岩も多く使われている。
代表的な作例
臼杵磨崖仏
熊野磨崖仏
大谷磨崖仏
春日山地獄谷の石仏(線刻仏)
東大寺南大門の狛犬
など多数
*道端の地蔵菩薩像や獅子狛犬などを加えるとその数は膨大である。
参考文献
(1)光森正士・岡田 健:『仏像彫刻の鑑賞基礎知識』至文堂(1996)
(2)根津美術館学芸部編:『鑑賞シリーズ4 ガンダーラの彫像』根津美術館(2000)
(3)田中義恭・星山晋也:『目でみる仏像〔完全普及版〕』東京美術(2000)
(4)水野敬三郎監修:『日本仏像史』,美術出版社(2001)
(5)守屋正彦・田中義恭・伊藤嘉章・加藤 寛・宮元健次監修:『日本美術図解事典』東京美術(2004)
(6)關 信子・山崎隆之編/監修:『仏像』,山と渓谷社(2006)