Online Lecture
『 仏像の彫り方 』
担当講師
村上 清
ここでは、仏像の素材や彫り方造り方について、Q&A形式でお答えしていきます。素朴な疑問、質問をこちらからどしどしお寄せください。
Q.4  仏像を彫るのに適した木は何ですか?
A.4

まず、仏像彫刻として使える木の条件をお答えします。
第一に「量」が確保できることです。木彫は、木を削って形を彫り出すことなので、仕上げれば仕上げるほど材量が減っていくことになります。大きな仏像を造りたければ、それに見合った大きな量をもつ木が必要になります。つまり、樹齢が長く、太い木ほど適していることになります。たとえ小さな像が彫りたいとしても、太く育った木を使用することをお勧めします。太い木の年輪は、樹皮に近い外側に行くにつれ、限りなく平行に近くなるので、製材から仕上げまで、ストレスを感じることなく進めることができるからです。
第二に「質」があげられます。硬過ぎず、柔らか過ぎず、適度な硬さと柔軟さがあると良いでしょう。たとえ同じ名前の木であっても、産地や育った環境によって全く別物のように見えることさえあります。木は生き物、人間と同様に同じ性格は二つとありません。木を手に入れるときは、見えるところは全て観察して、触って感触を確かめ、どのような性格かを見定める必要があります。
第三は、なんと言っても「彫りやすさ」です。節や枝などの多い木は、嫌になるほど彫り辛いものです。見た目にも良くない場合もありますので、基本的には節や枝の多い木は避けたほうが良いでしょう。
以上を考慮して、具体的にどんな木が仏像に適しているかを考えると、自ずと答えが見えてきます。また、彫刻文化財を調べてみることも欠かせません。仏像に適する木は、歴史が証明してくれているからです。一番多く使われたのが「ヒノキ」です。純粋なヒノキ科ヒノキでなくても、ヒノキ科に属している木は多く使われています。大変高価ですが、非常に優秀な木ですから、寿命も永く、仏像以外でも広く使われます。次にカヤやクスノキ、ケヤキなどがあげられます。先に述べたとおり、それぞれが細かく分類されていますので、興味がある方は木に関する専門書を読んでみてください。
大切なことは、造りたい仏像にあわせて木を選ぶことです。納得できる木を選んで手に入れることができるまでには、多くの経験と時間が必要になりますが、妥協せず取り組んで見る目を養ってください。