Online Lecture
『 仏像の彫り方 』
担当講師
村上 清
ここでは、仏像の素材や彫り方造り方について、Q&A形式でお答えしていきます。素朴な疑問、質問をこちらからどしどしお寄せください。
Q.7  仏像にも使われている漆は塗料だけでなく、いろんなものを混ぜることに よって、接着剤になったり下地材になったりするそうですが、具体的にどんな 材料をまぜるとどんな働きをするのですか?
A.7

今回は、当研究室の博士課程に在籍している菊池敏正君に答えてもらいましょう。菊池君は現在、漆を使った造像技法「乾漆」の研究を熱心に行っています。
では菊池君、よろしくお願いします。

はじめまして、博士課程1年の菊池です。
仏像に使われている漆は塗料としてだけでなくその他にも様々な使用方法があります。
木彫で仏像を彫る場合に木材の接着にも漆を使用する事ができます。その場合、麦漆といって漆と小麦粉や糊を混ぜたものを用います。
また下地として漆を使用する場合、漆に砥の粉や地の粉となどを混ぜた錆漆を使用します。砥の粉とは砥石の粉末でできており、地の粉は土を一度焼いたものの粉末です。レンガの粉末のようなものをイメージしてもらえればいいと思います。順番としては地の粉を混ぜた錆漆から砥の粉を混ぜた錆漆へと変化させていきます。中間には両方の粉を混ぜて作った切り粉錆というものを使用します。
この他にも木屎漆といって乾漆像を制作する際に重要な役割を持つものがあります。これは漆に小麦粉や挽き粉を混ぜたものです。天平時代に制作された乾漆像を見ると、この他にも何か混ざっているのではないかと思えます。そこで椨粉(タブコ)や杉粉を混ぜてみると扱いやすい木屎漆を作る事ができました。木屎漆に関しては現在も研究中なので新たな発見があれば再度ご報告します。