はせがわ賞授賞式挨拶

2011.11.3

 みなさんこんにちは。東京藝術大学大学院文化財保存学で、木彫および修復実技を担当している講師の益田芳樹です。本来でしたら籔内教授がここでご挨拶を申しあげるべきところですが、あいにくただいま岡山に出張中のため、私が代読させて頂くことをお許しください。では以下、籔内教授からの御礼のご挨拶です。

「東京藝術大学お仏壇のはせがわ賞記念展」の開催にあたり、株式会社はせがわさまに深く感謝の意を表します。 

 長谷川裕一(ひろかず)会長と私とのご縁は、今を去ること十数年前に、仏師・江里康慧先生および載金師・故・江里佐代子先生によって、お引き合わせを頂いたことに端を発します。

 その後、私が現職に奉職して間もなく、当時社長であられた会長に、「日本文化の継承を志す優秀な若者を、大学を卒業した後も応援して頂くことはできないでしょうか」とご相談を申しあげたところ、ふたつ返事で本賞の設立をお引き受け頂くことができました。

 本賞は、当初より五カ年が終了した時点で、受賞者のその後の研鑽をお披露目する展示会を開催するという計画でした。このことは、卒業生達が高等教育を受けた者の使命を痛感し、社会に恩返しする覚悟をもつことを願ってのことでした。彼らのその後を見守っていこうとする、永い目をもった人材育成を、株式会社はせがわさまが実現して頂いたことに、敬意の念を禁じ得ません。

 歴代の受賞者達は、修士課程、博士課程の専攻分野において優秀な業績を挙げたことは言うまでもありませんが、その後も、それぞれの道で切磋琢磨し、大きく成長してくれたことと信じています。本展において、その成果を一堂に拝見できることをこころから楽しみにしています。

 第一期五カ年を経過した本賞は、栄誉ある賞として本学のなかで確たる地位を占め、後輩達への大きな刺激となっています。そして今年、あらたに第二期として、長谷川房生(ふさお)・現社長によってさらに五カ年の授給を決定して頂きました。

 かつて伝教大師最澄は、山家学生式(さんげがくしょうしき)において「道心あるひとを名付けて国宝となす」とおっしゃいました。本当の国の宝とは、「もの」ではなく高い志をもって研鑽を積む「ひと」であることを、1200年もまえに宣言しておられたわけです。

 私は、本賞を受賞したひとたちが、自分が何故にここにあり、社会から何を求められているかをしっかり自覚して、益々の研鑽を積まれることを願っています。

 最後になりましたが、本賞を通じて文化財保存学を専攻する若き人材を応援して下さる株式会社はせがわさまに対し、深甚なる感謝と敬意を表してご挨拶のことばと替えさせて頂きます。ありがとうございました。

東京藝術大学大学院
美術研究科文化財保存学・教授
籔内佐斗司

代読 益田芳樹

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