京都府知恩寺
阿弥陀如来立像

Reproduction of Standing Amidanyorai in Chionji Temple

伊谷勇哉
ITANI Yuya

〈研究概要〉
 本研究では京都府知恩寺阿弥陀如来立像の模刻制作を通し、鎌倉時代の割矧ぎ造りの技法やその造像技術を学び、技術の習得と造形表現への理解を深めることを目的とする。
〈本像について〉
 本像は、宗祖法然上人800年大遠忌法要記念事業の一環で平成18年に行われた宝物調査で、快慶初期の作ではないかと見出された像である。解体修理はされておらず、衣に施されている截金も造像当初のもので保存状態の良好な像である。また、透過X線写真から像内に納入品が確認されている。像高は98.9cmのいわゆる3尺像で、量感表現や衣文表現の構成などが快慶初期の作である遣迎院阿弥陀如来立像と西方寺阿弥陀如来立像に酷似していることが指摘されている。
〈本研究にあたり〉
 知恩寺様のご好意により夏の1ヶ月半、京都に滞在し本像の間近で制作する機会をいただいた。毎朝お像を拝観するたび、そのすっきりとした美しい姿と制作中の模刻像との差に愕然としながらも少し彫っては拝観の繰り返しであった。最終日にはお像の横に模刻像を置かせて頂き、執事長様に違いを様々指摘して頂くこともできた。毎日みておられる方の声は大変有難く、模刻制作にとってこれ以上ないほどの貴重な経験をさせていただいた。
 本像は遣迎院阿弥陀如来立像や西方寺阿弥陀如来立像と作風や形式に共通点が多くみられるが、体幹部材と両体側部材との矧目の構造はやや異なっており、快慶初期の作例では八葉蓮華寺に安置される阿弥陀如来立像の木取りと共通点が多いことが今回の模刻研究で明らかになった。作風が酷似しながらも異なった構造であることは興味深く研究の余地がある。

戻る