静岡県 函南町
阿弥陀三尊像のうち観音菩薩立像
Reproduction of Standing Kannonbosatsu in Kannami

山田亜紀
YAMADA Aki

〈研究概要〉
 本像は、静岡県函南町かんなみ仏の里美術館に安置されている、阿弥陀三尊像のうち1軀である。像高は106.1㎝。昭和59年の調査において実慶の銘記が確認され、平成4年に国指定重要文化財に指定された。実慶は仏師康慶の弟子とされ、運慶と同時代に活躍した仏師である。実慶の作例は少なく、かんなみ仏の里美術館阿弥陀三尊像のほか、静岡県修善寺大日如来坐像のみが確認されている。ふくよかで量感に富んだ肉付けが特徴的である。
 本像は檜材による割矧ぎ造りで、頭体幹部は両足先と足枘を含めて縦一材から彫出されている。三道下で割り首を施し、髻は別材を付け、両腕は肩で矧ぎ右腕は肘・手首で矧ぐ。今回の模刻制作では平成26年に本学保存修復彫刻研究室による調査において、本像を含めた阿弥陀三尊像の熟覧調査・3Dデータ計測・透過X線撮影が行われていた為、正確な資料の確認が可能であった。それにより、観音菩薩立像・勢至菩薩立像には制作工程における構造的な違いがあることが確認された。双方の比較から像の制作手順や作者の試みを考えることで、当時の造像技術への理解を深める手がかりにすることができた。

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