奈良県 聖林寺
十一面観音菩薩立像 模刻制作

Reproduction of eleven-headed Avalokiteśvara in Shorinji Temple

朱 若麟
ZHU Ruolin

〈研究概要〉
 本研究は、国宝である奈良県聖林寺木心乾漆造十一面観音菩薩立像の模刻研究を行い、その制作過程で使用する材料や古典技法について検証を行う。また、原本像の構造に即して模刻制作を行うことで、天平時代の乾漆造への理解を深める。
〈本像について〉
 奈良県聖林寺十一面観音菩薩立像はかつて三輪山・大御輪寺の本尊として知られていた。木心乾漆造(心木をヒノキ材で制作し、その表面に漆とニレの樹皮粉末を混ぜた木屎漆で造形を行う)という天平時代に隆盛した技法で造られており、天平彫刻の傑作として国宝に指定されている。また構造においては、別材で造られた長い足枘が膝下から台座下端まで挿入されているという、非常に興味深い特徴がある。
〈制作所見〉
 本研究の中で、心木の木取りを再検証した。先行研究により、像正面は柾目、あるいは四方柾という木取り、もしくは正面と側面とも柾目の木取りであると推測されている。今回当研究室で行った透過X線撮影により、像側面は柾目、正面は板目の木取りと推定した。側面のX線資料によって、柾目の木目が後頭部から正面に向かって徐々に粗くなり、面部に近い箇所で木目が見えづらくなることから、面部付近に木芯が通っているものと推定された。また、今回この推測に沿って制作した模刻像をX線で撮影すると、原本像とよく似た結果となった。そのことから、本像に用いられている材が半割り材である可能性が高いと推定した。


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