アメリカ ボストン美術館 
僧形八幡神坐像 模刻制作

Reproduction of Wooden sitting statue of the Shinto Deity Hachiman
in the Guise of a Buddhist Monkengraved in the Museum of Fine Arts, Boston

小林 百代
KOBAYASHI Momoyo

〈研究概要〉
 本研究では、アメリカ・ボストン美術館に収蔵されている康俊作僧形八幡神坐像の模刻研究を通して鎌倉時代の造像技法と康俊の表現方法を学ぶことを目的とする。
〈本像について〉
 本像は、鎌倉時代から南北朝時代に活躍した仏師康俊の作品である。像内には、「南都興福寺 大佛師法眼康俊作 嘉暦三年十一月廿六日」と楷書で記される。およそ18材からなるヒノキ材の寄木造で、頭部は挿首、目には玉眼がはめ込まれている。
 当研究室で行った熟覧調査と写真資料、X線から玉眼を留める当木には竹製の留め具を確認することができた。本研究では、当時の造像技法や、繊細な彫りを再現するべく模刻制作を試みた。
〈制作所見〉
 像の表現は一見するとやや単調にも感じられる。しかし、頭蓋骨には張りがあり、表面仕上げも繊細で、衣文には重力感が見事に表現されている。坐像という動勢の少ない像でありながら、像全体を威厳あるものにしていると感じた。当時の造像技法や、繊細な彫りを模刻制作によって追体験することで、康俊の熟達した表現方法を学ぶことができた。また、ボストン美術館のご協力により現地での公開制作も行うことができた。多くの来場者やスタッフが抱いていた「なぜ機械ではなく人の手で模刻像を彫るのか」という疑問に「当時の制作方法を追体験することで当時の造形感覚や構造技法を学び、それらを後世に伝承することができる」ということを伝えることができたと感じる。


戻る